20180914/BLESS THIS MESS@池袋EDGE
はじめに
いきなり興味ゼロなおはなしで申し訳ないのですが、このところのわたしは、ちょうど年に何度かある「殺し屋に憧れる時期」に差し掛かっていました。良い目をしている、と言われたい時期に差し掛かっていました。それで南勝久せんせいの『ザ・ファブル』という銃撃漫画を開きながら、(まず腕をシュッてして、銃をバンッてして……)とイメージトレーニングに励んでいたのです。
ブレメス解散のお知らせが飛び込んできたのは、そんなある夜のことでした。
えっ……。えっ、どうして?■BLESS THIS MESSから皆様へ■
— BLESS THIS MESS Official (@BLEMESSofficial) 2018年9月7日
この度BLESS THIS MESSは2018年10月18日(木)池袋EDGE公演をもちまして解散いたします。
応援していただいているファンの皆様、突然のお知らせとなりましたことを深くお詫び申し上げます。
BLESS THIS MESShttps://t.co/1PnNlR8XsC pic.twitter.com/j9SxQpWInV
自分が立っていた場所が、足場からいっきに崩れるような喪失感。わたしは完全に気が動転してしまい、お世話になっている方(※幻覚ではない)へ銃口を向けるゴルゴ13のスタンプを送るなどしてしまいました。
殺害予告めいた物騒なスタンプがとつぜん届くなんて、受け取ったほうはたまったものじゃないですよね。みんなが安心してラインのやり取りができるように、インターネッツ警察のほうでぜひ取り締まるべきだとおもっています。まっさきにわたしが網走刑務所へ送られますが、そこは痛み分けなのです。
というわけで、ここからライブの感想です。
ブレメスの感想
Hymn
www.youtube.com 時刻は18時30分頃。フロアの照明が落とされ、それまで床に座っておしゃべりをしていたお客さんたちが一斉に立ち上がりました。しかしこの日はいつもと様子が違います。普段ならアップテンポなSEが鳴り響くところが、鍵盤の音色がおごそかに響きわたる『Hymn』に変わっているのです。
Elegy of Fate
こうべを垂れて祈りを捧げたくなるような空気に包まれた会場には、誰ひとりとして歓声をあげる者はありません。ライトとスモークとで薄っすらと白くけぶるステージに目を凝らすと、その中央にはなぜか既に柳さん(Vo.)が立っており、スタンドマイクに両手を重ねています。
「わかり合えたはずなのに、離れてしまった」
丁寧に紡がれた歌声が、織姫と彦星を連想させる珠玉のバラード『Elegy of Fate』だと気付き、わたしは半ば弾かれるように鼻をすすってしまいました。去年の7月7日に会場限定盤として販売され、その後フルアルバムにも収録されたものの、セットリストに入る事はなかったこの曲。
それをまさか、対バンのライブで聴けるなんて。楽しい雰囲気に水を差さぬよう泣くまいとさんざん誓って臨んだのに、音色のあまりの美しさに、なんともファン泣かせな幕開けに、一瞬で胸が詰まってしまいました。
どうしてこんなにも良いバンドが終わってしまうんだろう。本当に解散するの?こうしてライブを観てもまだ、実感がわきませんでした。
slumber
複雑に入り乱れた感情をやり切れず、茫然としていると、サポートを務めるHakuyaさん(Dr.)、立石 恁さん(Gt.)、Regaさん(Ba.)が薄暗いステージに音もなく足を踏み入れます。やがて優しく、どこか物悲しい水音がこぽこぽと聴こえた瞬間、最前列のお客さんたちの空気がはっと揺らぐのを感じました。二曲目はまたしてもバラード、おそらくバンド最大の人気曲であろう『slumber』です。
間奏部分では上手に立つ恁さんの輪郭がライトの下に浮かび上がり、殺傷能力満点のギターソロがはじき出されます。少し歪んだ泣きの音色はまるで聴き手の”今”を代弁しているかのように思われ、またしても目頭が熱くなってしまいました。
この日の恁さんはこれまでのウェービーヘアとは異なり、顎のラインで切りそろえた前下がりのボブ。余計なものをそぎ落とした様相だからこそ、弦をかき鳴らす節ばった指先や歌詞を口ずさむ表情に、何度も目が釘付けになりました。
終盤ではHakuyaさんがゆるく波打った黒髪で顔が隠れるほどおおきく俯いて、唇を真横に引き結び、手元だけを小さく動かしてチッ、チッ、チッ……とかすかなリズムを刻みます。両脇の楽器隊陣も同様に下を向き、「悲しみ悩む事が、苦しみ悩む事でも、キミが選んだらそれでいい」と柳さんの独白めいた歌声が響きます。それが終わるか否かというとき、不意にRegaさんがドラムセットの方を肩越しに振り向き、大サビの入りに合わせておおきくベースを振り下ろしたのです。
瞬間、閃光と言わんばかりの強い光が一気にステージを明るく照らし、柳さんが会場の隅々まで歌を届けるかのように、胸の正面に掲げた両腕をゆっくりと真横へ広げていきます。そして「この眠りに沈めて……この眠りに沈めて……」と神々しいばかりの歌声を響かせるその隣では、Regaさんもまた眉根をぐっと寄せた顔つきで遠くを見据え、同じフレーズを口ずさんでいるのです。
バラード続きとあってか、この日のRegaさんはあまり前へ出てくる事はなく、派手なパフォーマンスはありませんでした。しかしだからこそ、ふとした瞬間の表情や唇の動きが、ますます胸に迫ってくるのを感じました。
悲恋蜉蝣
三曲目は琴の演奏を取り入れた和風曲『悲恋蜉蝣』。ここまで来るともうリスナーの殆どが、今日はバラード縛りのセットリストなのだと気付いた事でしょう。わたしはこの日はじめてバンドアレンジ版?ライブ版?を聴けたのですが、楽器隊の迫力たるや……演奏の主張を抑えてしっとりと聴かせる原曲とはまったく異なる魅力に溢れていて、圧倒されてしまいました。これから少しずつ、あのとき聴けた『悲恋蜉蝣』の記憶が薄れていくことが本当にもどかしい。決して大袈裟な言い方じゃなく、心からそう思います。Hakuyaさんがずっしりと安定感のある音を決め、そこにRegaさんが顎先でリズムを取りながら低音をうならせます(ベースラインが最高)。恁さんがどこともない宙を見詰め、ぽつぽつと唇に歌を乗せながらギターを奏でます。そうした音のひとつひとつが自分の鼓動と重なる内、ステージとフロアの境界線が取り払われて一緒くたに溶け合うような感覚をおぼえ、心地よくてたまりませんでした。
この曲を聴けたことが本当にうれしい。原曲よりずっと好きになりました。
Lunar Regret
そして最後を締めくくるのは『Lunar Regret』。曲が終わる間際、柳さんはおもむろにマイクスタンドの柱部分を片手で握ると、ずるりとその場に崩れ落ち、最後は顔が隠れてしまうほど俯いてしまいました。メンバーさん達からは何ひとつ言葉の語られないまま、ステージが紗幕に覆われていきます。残されたリスナーたちはしばし面食らったような雰囲気でしたが、やがてどこからともなく拍手が沸き起こり、全曲バラードという怒涛の本編に幕が下りたのでした。メッセージと共にストーリー性を感じられるライブでした。ブレメスの解散については、正直まだ言葉がまとまりません。個人的な事情で、来月のライブには行けるかどうかもわかりません。今日がバンドを観られる最後だったかもしれないのに、会えなくなる実感もまだありません。こうして文字に書き起こしておきながら、寂しいとかありがとうとか、はっきりとしたラベルを感情に貼れないままでいます。
でも、バンドが最後のときを迎えたなら、今日聴いた『slumber』の一節にあるように「悲しみ悩む事が、苦しみ悩む事でも、キミが選んだらそれでいい」と言えたらいいなとおもいます。
わたしがブレメスに興味を持ったのは、過去に応援していたバンドのメンバーさんたちが再結集したからです。もちろん楽曲の魅力もおおきいのですが、顔ぶれに懐かしさをおぼえたのは間違いありません。だから立ち上げメンバーの蘭丸さん(Gt.)と駁さん(Ba.)が去年脱退したとき、自分のなかではいちどBLESS THIS MESSは終わりました。誤解をおそれずに言えば、その三人の関係性、三人だからこそ生み出せるライブに惹かれていたのです。
でも恁さん(Gt.)とRegaさん(Ba.)があらたに加わり、あたらしいブレメスの魅力をもういちど確認できました。衣装や楽曲からバンド全体に流れる雰囲気まで、おふたりがバンドにもたらしたものは本当におおきいとおもいます。だから、旧体制と新体制のどちらがいいわるいということはまったくなく、わたしはいつでも「今」のブレメスがすき。この三人が織りなす瞬間がとてもすき。そんな気持ちにさせてもらったことにも、またライブへ行ってみようと思わせてくれたことにも、感謝しかありません。
もうすこし落ち着いたら、下北沢モザイク時代からのライブレポをちょこちょこ載せようとおもいます。
セットリスト
1.Elegy of Fate
2.slumber
3.悲恋蜉蝣
4.Lunar Regret
公演情報
池袋EDGE
DNL Present’s-Grotesque New Pop
LIM / 仮病 / BLESS THIS MESS / MEIDARA / DARIAN MARIAN / 他
20180831/BLESS THIS MESS@目黒鹿鳴館
はじめに
BLESS THIS MESSのステージを観るべく、東京は目黒にある老舗のライブハウス「鹿鳴館」へ行ってきました。この日のライブはKRAD主催の5daysイベント「闇夜の宴 Vol.5」、その最終日をかざるというもの。ファイナルとあってか、対バンのバンドさんもお客さんたちも序盤から気合十分の夜でした。
というわけで、またまたライブの感想です。
対バンの印象
NvM
youtu.be
会場の照明がふっと落ち、本編開始を伝えます。ところがステージを覆う生成り色の布紗幕が開くことはなく、メンバー陣であろう四人のシルエットだけがバックサスで黒く浮かび上がっている状態。そうしたドラマティックな演出がオープニングの曲半ばまで続くのです。
しゃがれ気味の歌声や演奏は聴こえるのに、どのバンドが立っているのかわからない。それがちょっと焦れったくもあったのだけれど、だからこそサーッと幕の開いたときの高揚感もひとしお。
緑髪の朋さん(Vo.)は真っ赤なマイクコードを鞭のように床に打ち付けて叫び、ひざ丈のパンツから伸びる墨入りの足で軽快なステップを踏みながらラップを披露します。「ピギャーーー!!」と笛のような甲高いシャウトに背中を押され、フロアの熱気も右肩上がりになっているのをかんじました。終盤のモッシュタイムがとっても楽しかった。
√HONEY
youtu.be
ex-VETIQUEのヘヴンさん(Vo.)によるセッションバンドだそうです。過去バンドのオリジナル曲に『UGLY(The Gazette)』や『君の子宮を触る(DEZART)』などのコピー曲を織り交ぜたセットリスト。
終盤ではヘヴンさんが、毛先をピンクに染めたウェービーな茶髪を肩先で揺らし「目黒ーーッ!!行けんのかぁ!?行けんのかぁ、鹿鳴館!!」と笑顔でフロアを挑発します。たちまちハコの前から後ろそこかしこでメロイックサインが突き上がり、好きなメンバーを求める大歓声でのネームコール。その盛り上がりがすごかったので、ライブ本数の少ないセッションバンドと聞いてちょっとびっくりでした。
マゼラン
youtu.be
幕が開けると、トリ前を務めるマゼランさんが姿を現します。銀髪を放射状に逆立てた繭さん(Vo.)が情感たっぷりに歌い上げる『赫い糸』から始まった本編は、幻想的な真っ白いステージ衣装だったこともあってか、舞台の上に仕掛け絵本が開かれたような雰囲気です。
上手のさなさん(Gt.)はコルセットを締め上げているのでしょうか、腰を細く引き絞り、そこから足元に向かって裾広がりになるロングスカートらしき装いをしています。その縦に細長くウエストでくびれる砂時計型のシルエットが、とても印象的でした。90年代のヴィジュアル系バンドみたいな、ちょっとなつかしい感じ。ヘッドバンギングをするとゆらゆらと軟体動物みたいに体が揺れていて、良い意味で人じゃないような、浮世離れした佇まいでした。
終盤に披露されたバラード『Ashley』では、繭さんがステージ中央の高台に崩れ落ちる形でうずくまり、背中を丸めて想いの丈を叫びます。両手でマイクを握り、おそらくは亡くなった想い人”Ashley"への言葉を綴るそのステージングは、一秒たりと目が離せません。最後は物悲しいギターの音だけが会場に残り、湿った拍手の鳴るなかで幕が下りました。
KRAD
youtu.be
一曲目の『絶命歌』が始まると、スモークの立ち込めるステージが姿を現しました。艶のある低音の歌声や泣きの演奏が耳縁をかすめるものの、雲のように濃い煙が視界のすべてを遮ります。ここはどのバンドさんなのかしら……ともどかしい気持ちで目を眇めていると、ふっと強い照明が射し込み、バンドロゴの入った黒地のドロップアウトが浮かび上がりました。
あっ!これがKRADなんだ!
ひとりごちた瞬間、胸の前で力強くマイクを握る宗さん(Vo.)と、ノースリーブの繭さん(Gt.)、顔の下半分を黒い布で覆った悠さん(Ba.)の黒尽くめな顔ぶれをようやく確認します。蜜爪さん(Dr.)だけはまだスモークに隠れていて、それがまたわたしの目をステージに縫いとめて離さないのでした。
歌謡曲の色を感じるダークなバラード、激しい暴れ曲が立て続けに披露されると、会場はすっかり音に支配されています。
宗さんは今日が5daysイベントの最終夜であることに触れ、「もう五日。始まったときはどうなるかと思ったけど、終わってみればあっという間だった」と一言。ぽつぽつと記憶を手繰るようにステージ上を歩きながら語るのは、このあと披露する新曲についてです。歌メロを意識してメロディアスな感じに仕上げたと明らかにしたあと、「だからしっとり聴いてもいいし……、まぁ、ノリたい人はノってくれてもいい」と曲の楽しみ方を示し、やおら舞台の中央にスタンドマイクを設置します。
す、とひと呼吸を置いて「夢喰い」とタイトルが紡がれると、きっとファンの方には待望だったろうその新曲が響き渡ります。『絶命歌』とこの『夢喰い』の、胸を引っ掻くような湿っぽいメロディーが素敵でした。そして次のハードな曲へ移るときにはそのスタンドを弄ぶように振り回し、自然に舞台後方へ置くまでの一連の流れが、とても格好よかったです。
「全部吐き出せ!ため込んでるもの、全部出せ!」
宗さんが両腕を真横に広げ、会場中を駆け巡るヘッドバンギングの嵐が、その風速をいっそう強めます。そして何度となく繰り返されるモッシュ。フロントマンの指先に挑発されるまま右へ左へリスナーが流れ、かと思えば今度は一斉に後ろへ走っていきます。ときには繭さん(Gt.)が何事か叫びながら上手の壁際をまっすぐに指し、お客さんの衝動をもっともっとと駆り立てるのです。そこから放たれる爆発的な熱量は、体感してこそ。
最後の曲を終えたメンバーさんたちが退場すると、フロアには温かみに溢れた拍手が自然と沸き起こっていました。
ブレメス感想
時間押し気味
youtu.be
不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまって大遅刻、わたしが目黒駅にたどり着いたのは、ブレメスの出演予定時間をおおきく過ぎたころでした。汗と雨とで乱れたざんばら髪の姿が駅の鏡面柱に映り込み、なんともみじめです。
それでも一曲、二曲くらい聴ければという想いでライブハウスの受付へ駆け込んでみると、しかしまったく音漏れがありません。えっ……お、おわ、おわ、終わっちゃった?一気に血の気が引き、フロアへと続く黒扉を押し開きます。
床に座り込むお客さんたちの間を縫い歩き、見知る顔を見つけたときの安堵感といったらもう。この日はたまたま時間が押していて、まだブレメスの出番はきていないとのこと。なんだか膝の力が抜けてしまい、わたしは倒れ込むかたちで席を確保したのでした。
入場
午後17時前、期待と興奮を尻目に本編が始まると、まずは立石 恁さん(Gt.)、サポートを務めるHakuyaさん(Dr.)、Regaさん(Ba.)が登場します。ややあってスモークの奥から柳さん(Vo.)がゆっくりとその姿を現し、「やなぎーーッ!!」「柳、かかってこいよ!!」と、熱狂的な声援が響き渡りました。
蝋涙に死す。
この日のブレメスは、「裁きをくれ!!」という乞いから始まるのが印象的な『蝋涙に死す。』から始まりました。胸元にドレープの寄った黒いVネックカットソーに、おなじく黒いジャケットとパンツに身を包んだ柳さんの佇まいは、蝋燭に自分の死生をかさねた仄暗い歌詞の世界観に不思議とリンクします。「BLESS THIS MESSです!よろしくお願いします!!」と硬派に名乗った唇が、次の瞬間には「頭振れ!!」「かかってこい!!」とフロアを挑発する。その緩急の差に煽られるように、高速ヘッドバンギングの嵐が巻き起こりました。いつもこの瞬間がたまらなく気持ちいい。
ステージ中央に設置された高台の上で、柳さんは不意に横向きに立ちます。最前列のリスナーが大きく顎を持ち上げて見つめる中、フロントマンもまた喉仏があらわになるほど思い切り空を仰ぎ、目を閉じ、マイクを宙に垂直に立てて熱唱するのです。そのシルエットが、舞台後方から射し込む暗い橙色のライトに照らされるさまに、すっかり魅せられてしまいました。
MIRROR MIRROR
続く『MIRROR MIRROR』では一転、曲のスピード感をいっそう煽らんばかりに”OIコール”を煽ります。拳を宙に突き上げ、ときに髪を激しく振り乱しながら声を出すフロアの熱量は、この時点ですでに最高潮まで高まっていました。『ミラーミラー』は5月10日の初お披露目から何度となく演奏されているライブの定番曲なのですが、いまだ手垢のつく様子はありません。この曲のときだったか、下手のRegaさんは不意にドラムセットの方へと駆け寄り、ステージよりも少し高さを出した足場に片足をかけて、ベースの弦をかき鳴らします。すると「鹿鳴館」のネオン文字が真っ赤に浮かび上がる真下で、Hakuyaさんがリズムを刻みながら歯を覗かせます。その一瞬間に、バンドサウンドの土台を底から支えるおふたりの関係性を見たような気がして、わたしもまた笑顔になってしまいました。(追記:これは一曲目のときだったみたい)
[blind Circus.]
『blind Circus.』では、柳さんのステージングがまた一段と胸に迫ってきます。前回は「僕から言える唯一は、目で見たものが全てじゃない」の「唯一は」で左手の甲を客席へ向けながら人差し指を立てていたのですね。今日はそれに加えて「目で見たものが」と、これもまた手の甲を外に向けた二本指を、自分の目元にぐっと掲げながら、会場を見据えるのです。俺を見ろ!と言わんばかりの鋭い眼差しが、今日はとても印象的でした。そして終盤では、恁さんがコーラスマイクに唇を寄せ、「ウォーウォー……」と歌い始めます。かと思えば下手のRegaさんもまた同じようにコーラスを響かせるのです。このお二人の雰囲気がぜんぜん違っているのが、聴き手としてはたまりません。
恁さんは目周りを真っ黒に囲んだ瞳でフロアの遠くをまっすぐに見つめ、その攻撃的なメイクとは裏腹に何事か想いを馳せるような佇まいで、やさしい歌声を響かせます。それに対してRegaさんは小麦色に焼けた首筋にじっとりと汗を光らせ、眉根を引きしぼり、これでもかというほど口をおおきく縦にあけて咆哮しているのです。
さらに「一緒に歌ってくれ!!」の合図をきっかけにリスナーも片手を挙げて大合唱。ステージからフロアから無数の歌声が集まるなか、最後に柳さんが「目の前で立ち尽くすキミに幸せ……幸せあれ!」とラストフレーズを決める、この流れが最高!
柳さんがひとりで歌っていた曲にまず恁さんが歌声を重ね、次にRegaさんが重ね、現メンバー三人の歌声を聴けるという流れは、メンバーチェンジを経て今もなお輝きを放つバンドの軌跡をそのまま象徴しているように思われ、感慨深いものがありました。今日、この光景を目にできたことが、ほんとうにうれしい。
Mr. Human Error
最後に初期の楽曲『Mr. Human Error』で締めくくられ、この日の舞台は幕を下ろしました。ブレメスのライブはメンバーさんたちが下手から順に捌け、最後に上手の恁さんが骨ばった手の甲に筋を浮き立たせ、弦をかき鳴らします。わたしの中ではその演出までが本編で、ギターの残響音を体で受け止めると、いつまでもしあわせの余韻が続くのでした。
とにかく今日は柳さんの自信溢れる「かかってこい!」にぐっとトリガーを引かれ、全部受け止めるとばかりに両腕を広げて吠えるRegaさんに魅せられた日でした。そして恁さんがステージの前方ぎりぎりまで身を乗り出して、最前列のお客さんの手や頭にぶつかるのも構わず攻めていたのも、素敵だった。あんなメンバーさんたちを目の当たりにしたら、全身でよろこびを表現せずにはいられません。
機材トラブルこそあったものの、そのなかで足を止めずに闘うブレメスを見られたことをうれしく思います。平成最後の夏の締めくくり、ほんとうに最高の一日でした。
セットリスト
1.蝋涙に死す。
2.MIRROR MIRROR
3.[blind Circus.]
4.Mr. Human Error
公演情報
「闇夜ノ宴vol.5」
日程:2018年8月31日(金)
出演:KRAD / LARZ / BLESS THIS MISS / DUALUZ / マゼラン / NvM / √Honey
Open15:30/Start16:00
20180807/BLESS THIS MESS@池袋EDGE
はじめに
(出典:E.T OFFICIAL)
心待ちにしていたE.T主催のライブ『NEO SPIRITUAL CIRCLE VOl.3』へ行ってきました。あんまり音楽のジャンルにくわしくはないのですが、ロックやラウド系、メタルコア色の強いイベントだったようにおもいます。黒づくめの男性客もちらほら。
この日はBLESS THIS MESSの動員で入ったのですが、どのバンドさんも自分たちの体から放つ熱量だけを武器に戦っているかんじがして、そのストイックさにすっかり心を奪われてしまいました。
開演の17時から終演22時まで、約5時間のロングイベント。事前にタイムテーブルが公開されていたことや、1バンドにつき約30分もの持ち時間があったことも含め、とにかく「行ってよかった!」の一言なのです。
というわけで、各バンドさんの試聴動画を引用しながら、この日の模様を筆圧つよめにふりかえってみます。
対バンの印象
the deadly school
youtu.be
「池袋エッジ、行けますかー!」とイベントのトッパーを務めたのは、ex-RAINDIAのmiyoshiさん(Vo.)によるソロプロジェクト、the deadly schoolさん。
ステージを覆う真っ黒な幕が引かれると、目にあざやかな緑色の髪のmiyoshiさんが、サルエルからのびる裸足で舞台に立つと、胸の前で手のひらを合わせて一礼します。
シンセサウンドを取り入れた同期音楽と歌声が絡みあうなか、星柄の模様を透かしたライトがフロア全体に降りそそぎ、たちまち別世界になります。かと思えばとつぜんふっと明かりが落ちて空襲みたいなサイレンが鳴り響き、胸をざわつかせる場面もありました。
「幸せってなんですか」「人間ってなんですか」「幸せって何なんですか」とくりかえし訴えかけるmiyoshiさん。ライブというよりは、音とひかりと身体表現によるアートを観ているような心地になれました。
THE ENDEMIC OAK
youtu.be
続いて登場したのは黒の革ジャンやダメージスキニーに身を包んだTHE ENDEMIC OAK、通称エンデミさん。
事前に観ていた『RAY OF LIGHT』のリリックビデオがとっても好みでした。ついつい「このセカイは光に満ちている」と口ずさんでしまうキャッチーなメロディーも良いし、最初のサビが終わったあとにバンドロゴが上から落ちてくる演出がツボなのです。
Haruhitoさん(Vo.)がしゃがれ気味のハイトーンを叩き付けると、楽器隊のみなさんも変則的な演奏で続きます。誰もかれもが汗だくになって思いの丈をぶちまけ、ロックチューンを次から次へと畳みかける、ものすごく熱いバンドさんでした。リスナーさん達も夏らしい浴衣姿なのに頭をぶんぶん振り回していて、しびれちゃいます。
それからMCでは、伽羅さん(Ba.)が「誰ひとりコミュ力がないこのバンドが、唯一話せるだいすきなバンド!」といったニュアンスのトークで場をE.Tさんを紹介します。自虐めいた言葉で冗談めかしながらも最大限の敬意を払っていらっしゃる姿勢が、とてもすてきでした。
もっと言えば、この日の出演者さんたちはみなさんそうだったんですよね。ステージが移るたびに「呼んでくれてありがとう!」「E.Tまで繋ごうぜ!」とフロアを引っ張りあげていて、その心意気やバンドさん同士の関係性にぐっと来ました。
ああ、たのしかった。メンバーさんたちの顎下から落ちた大粒の汗が、首筋を流れて喉のくぼみにたまっていくのが見えるたび、その本気の熱量に感化され、自然と笑顔になって拳をつきあげてしまいます。
フォント&ロゴフェチとしてはぜひぜひジャケット盤を買いたいな。そう思わせてくれる吸引力をかんじました。
Lament.
youtu.be
四番手として登場したのはLament.さん。
どなたかのアルバムレビューで「名古屋系の系譜をひく古き良きバンド」と紹介されていて、気になっていた演者さんです。この日の顔ぶれのなかで、知識の浅いわたしが知っている「ヴィジュアル系」にいちばん近い雰囲気でした。
他のバンドさんが激しく吠えたり攻撃的なヘッドバンギングをしたり、という雰囲気のなかで、Lament.さんはどこか退廃的な美学を感じさせるたたずまい。
たとえばヴィジュアル面では、白塗りの肌に前髪をそろえた金髪だったり、つばの広い女優帽と長い黒髪だったり、少しウェーブがかった黒髪と腰下まで覆う真っ白なシャツだったり。マイクスタンドには蔓草がぐるぐる巻かれているのですよ。
そして音楽面では、強烈に哀愁を誘うメロディーと悠歌-youka-さん(Vo.)の深みのある声が絡み合い、聴き手のからだを貫きます。ときにはマイクオフで叫んだり髪を振り乱す場面もあったのですが、「わいわい盛り上がる」や「汗をかいて暴れる」楽しみ方とはまた違った、音楽に浸ることの喜びを提示してくださるステージのように感じました。
最後に披露された『つがいの残響』のCDがほしかったのだけれど、まだ発売前なのでした。
LANTANA
youtu.be
最前列の柵にかかったマフラータオルのお洒落さに「あらっ……がっごい゛い゛」と藤原竜也さんのお芝居めいた声を漏らしていると、黒地のバンドTシャツで揃えたLANTANAさんが登場しました。凶悪な、と書くと語弊があるかもしれませんが、攻撃的なヴィジュアルのバンドさん。一曲目からステージを破壊せんばかりの勢いで爆音を轟かせます。
Lament.さんが作り上げた虚無の世界を、すべて音で塗り替えていくようなステージング。二曲目か三曲目の入りでは啓太さん(Dr.)のドラムの合図が一向に始まらず、朋さん(Vo.)が客席を見据えたまま「おいおい、どうした?大丈夫か?」と笑い混じりの声を落とします。思わぬアクシデントが起きても動じる様子はなく、頼もしい雰囲気でした。
そしてそこからはピエロメイクに赤チェックのボンデージパンツで決めた榛葉さん(Ba.)が軽快なトークで繋ぐのです。「ドラムトラブルてーきーな?このままだと一曲少なくなっちゃう、みーたーいーなっ?」と女子高生みたいな口調がフロアの笑いを誘っていて、すごく和やかな雰囲気でした。
「せっかく外が気を利かせて涼しくしてくれてるんだから、ここはE.Tがぶっ倒れるくらい熱くしようぜ」「今日俺たちのライブを観て楽しいと思ったら、何も考えなくていいから、もう一歩だけ前に来い!」
雨模様の天気とかけて、客席を盛り上げる朋さん。そのぐっと手を引っ張られる感じもまた、心地よさを感じました。
いったんライブが中断しようと、再びステージが始まればその猛攻はとどまるところを知りません。会場の熱気はさらに増し、タオル回しや拳を回しながらのヘッドバンギングで埋め尽くされます。ステージとリスナーさんたちが生み出す爆発的な熱量に、口が開きっ放しになるくらい圧倒されてしまいました。かっこよかった!
そうした熱狂のなかで「個人的に思い入れがある曲」と紹介された『泡沫』は、大切なものを失ったやりきれなさを綴る、メッセージ性の強いバラードでした。
「あなたは突然、空へ旅立った」と歌う朋さんの眉間に皺を寄せた悲痛な表情や、口元の前にかかげられる指先の震え、そのひとつひとつに見入ってしまいます。前後の曲とのコントラストの強さに、微動だにできなくなってしまいました。
E.T
youtu.be
デジタルフライヤーを見た瞬間、グランジスタイルのフォントや素材のテクスチャーにひとめぼれしたバンドさん。アートワークが好みだと音楽もツボなことが多いのですが、その期待どおり『Still Alive』のMVですっかり心をつかまれていました。
真っ青な照明とステージ上に焚かれたスモークが宇宙的な雰囲気を作り出す中、全身黒色の衣装でそろえたメンバーさんたちがステージ上にあらわれます。
「?W◎Θ▽%……ポゥ!!」と奇声を発していた浩さん(Vo.)が赤いマイクケーブルを鞭のようにしならせると、そのあまりの勢いの良さに吊り照明に引っかかってしまいました。開幕早々のその一瞬だけで、なんだか只者じゃなさそうだと、期待が加速していきます。
浩さんはなかば白目をむきながら小刻みに体を震わせたり、全開の笑顔で「ありがピョー!!ありがピョー!!」と客席に手を振ったり、一星さん(Ba.)と映画『E.T』の指さしポーズをするなど、自由そのものです。
他のメンバーさんたちもベースを立てて弾いたり踊ったり、前につんのめる勢いで跳ねながら演奏したり、サークルモッシュするリスナーさん達をスティックで指したり、アッパーな流れでどんどんフロアを巻き込んでいきます。
かと思えば本編の途中には、バックサスをつかった演出が何度となくありました。薄霧の向こう、逆光に四人のシルエットがぼんやりと浮かび上がる光景が、まぶたの裏に強く焼き付いています。曲としても演出としても、ただ激しいだけではなくて、人の内面のやわらかさ・美しい瞬間に触れられるのもすごく好きでした。
念願の『Still Alive』は目頭が熱くなりました。あと、壁を押すように片手を前に出しながらツーステップを踏む曲も。(追記:『Fortune』という曲みたい)
「猛暑にやられても、酷暑にやられても、ちょっと立ち止まってもいいんだよ。でもまた、歩き出すときがきたら、そのときは一緒に頑張っていきましょう」といったメッセージが放たれた時、ああ今日が終わってほしくないなあという気持ちでいっぱいになってしまって。ブレメスはもちろん前回のステージよりさらに楽しかったのだけれど、このイベントの出演バンドさんが全部楽しかったのですよね。
そして浩さんが真っ赤なマイクケーブルを手持ち無沙汰に持て余したり、勢いよくステージに叩き付ける様子には、なぜだか不思議と、人生を生きることのむずかしさ・もどかしさを連想させられました。はじめて尽くしの音楽体験でしたが、本当にすてきなイベントでした。
というわけで、フルアルバム『DO NOT BELONG TO ANYTHING』を購入。喉の奥に指を突っ込んで「ヴォエッ」と吐いているような曲と、ツーステップを踏む曲と……これもまたはじめて尽くしだから、たくさん聴きます。
ブレメス感想
蝋涙に死す。
youtu.be
バンドネームを唱えるSEと共に登場したのは、黒を基調とした衣装に身を包んだBLESS THIS MESSのメンバー。鳴りやまない歓声を受け止めた四人が最初に投下したのは、先月発売されたばかりのミニアルバム収録曲、『蝋涙に死す。』でした。
MIRROR MIRROR
続く『MIRROR MIRROR』では疾走感たっぷりの曲に合わせて熱いOIコールが沸き起こるなど、冷房のきいたライブハウスの気温が一気に上昇していきます。
それから、立石 恁さん(Gt.)が自己紹介代わりの音色をかき鳴らす……はずのギターソロでは、とつぜんふっと音が立ち消えました。ん?といった表情で足元に置いたエフェクターのペダルを踏んだり、スタッフさんが舞台袖から顔を出したりと、なにやらあわただしい様子。
終演後に更新されたツイッターによると、柳さんがギターのケーブルを踏んで電源を切ってしまったとのこと。きっと楽しくなっちゃったんですね!
[blind Circus.]
そんなアクシデントがあっても、生だからこそのスリルとグルーヴに会場の熱気はとどまることを知りません。
すっかり温まった会場に落とされたのは「こっちへ来ないで」と拒絶の言葉からはじまる『[blind Circus.]』。自分の胸元を力強く指し示した柳さんは「僕からいえる唯一は、目で見たものがすべてじゃない」と言い切って、手の甲を外側にむけた人差し指を突き上げます。どこまでも毒気のあふれる曲は、しかし終盤へ進むにつれ「キミに幸せあれ」とリスナーの明日を祝福するラブソングの顔を覗かせます。柳さんが「声をくれ!!」と焚き付け、たちまちフロアに沸き起こるシンガロング。恁さんもまたコーラスマイクに顔を寄せて「ウォーウォー」と柔らかく掠れた声を重ね、もはや客席とステージの垣根はどこにも見当たりません。
この日のライブはRegaさん(Ba.)の野性的なシャウトも聞こえ、ものすごく熱かったのです。唯一無二なフロントマンの歌声を弦楽器隊が両脇から支えるバンド感によって、音がますます立体的に聴こえるというか。CDとはまた違ったリアルな手触りが今日の対バンの雰囲気にも合っていたし、もっといえば今のブレメスにも合っている気がしました。コーラスのあるバンドさんはとっても最高!
MC
「こんにちは。ブレス……、ディス……、メスです!!」
柳さんが喉元にじっとりと汗を光らせ、浮き出た喉仏を上下させながらバンドネームを口にします。MCでようやくお顔をじっくり見る余裕ができたのですが、くさむらの影から獲物を狙う蛇、のような目をされていました。なんだかオフィシャルアカウントの「アツいバンドさんたちと”音”で勝負したい」という言葉が不意に思い出され、バンドの放つエネルギーに膝の力が抜けてしまいそうでした。
今日のブレメス、かっこよすぎじゃないかな?
ハンドクラップじゃなくて、泡を吹いて倒れるくらいしたほうがいいかな?
とあたまの中を忙しくしていると、柳さんが「俺たちの始まりの曲」と次のナンバーを紹介し、その言葉にわっと歓声がわき起こります。実はこのときわたしは『Answer』という初期の曲を連想したのですが、良い意味でその期待は裏切られました。
Lunar Regret
物悲しいピアノの音色が静寂を切り裂き、月をテーマにした壮大なバラード『Lunar Regret』が会場の隅々まで広がっていきます。しっとりと、そして確実に聴き手のこころへ入ってくる音と言葉にすっかり魅了されてしまいました。池袋EDGEは音も照明も抜群に良い、とはうかがっていましたが、その前評判にたがわぬとおりでした。歌声がこちらへ届くたびに袖や胸元の布地が震える感覚があって、この環境でこのバラードを堪能できたことがとてもうれしかったです。
恁さんはといえば、ギターソロで弦を掻き鳴らすと共に感情がたかぶっていく様子。この曲は終始「ギュワワワワーン!ギュイイイイン!」と歪んだ音がうねっているイメージだったのですが、「キュピーーーン!キュイイイイイン!」と徐々に音程の上がっていくおもちゃみたいな音が使われているのを、この日はじめて知りました。
ああ、すてき、すてき!100点!
そしてそして、Regaさんの体当たりのステージング。最高!最高!最高!
6月5日の高田馬場AREAで観たルナリグもすごく鬼気迫る演奏だったのだけれど、今日はそれを上回る衝撃でした。アウトロでがくんと両膝をついたかと思うと、床に顔がつきそうなほど背中を丸め、ベースをお腹に抱え込むようにして弦をかき鳴らすのです。
眉間に深いしわを刻んでまぶたを閉じたり、頭をぐしゃぐしゃにかき乱したり。楽曲の持つストーリーがさらに厚みを増し、Regaさんの内側からわきあがる熱量を肉眼的にもたのしむことができて、すごく感激しました。
old【new】order
「次がラストだぞ!」と始まったのは、ライブではおなじみの『old【new】order』。 宇宙を思わせる真っ青なライトが降り注ぐなか、開放感たっぷりの曲に合わせてリスナー全員でフロアを揺らします。この曲のときだったか、Regaさんと恁さんがドラムセットへ近寄って、サポートを務める深町晃さん(Dr.)のお顔を何度も下からのぞき込むワンシーンがありました。もともと同じバンドで活動されていた仲だからこそのちょっかいに、その当時をまったく知らない自分も胸があたたかくなって、頬が緩んでしまいました。
やがて演奏が終わり、ステージに静寂が訪れます。しかしメンバーさん達はどなたもその場に立って俯き、誰も退場しようとしません。いつものようにメロイックサインを掲げて見送ってよいものか迷ったそのとき、不意に舞台がぱっと照らされ『PERSONA』のジャジーな音色が鳴り響きます。
PERSONA
まさかのサプライズにわっと歓喜の声があがる中、「本当のラストはこの曲だぜ!」と柳さんがフロアの熱を煽るのです。不敵な笑みを浮かべるその表情のなんともうれしそうなこと。最後までリスナーの度肝を攻めぬく演出に、興奮が止まりません。ああ、またプレイアーさんたちとペルソナを踊れてうれしい!柳さんも恁さんもRegaさんも体をゆらしておどってた。深町さんはドラムを叩きながら口をぱかっと開いて笑ってた。すてき、すてき!それぞれが独立した個性を放ちながら曲の輪郭を描き、時にはぶつかったり離れたりしながらバンドサウンドを作り上げていくさまを、目の前で観られることがとってもうれしい。
総力戦の音を叩き付け、いつも以上にメーターの振り切れた熱いステージ。メンバーさん達がやりきった顔で去ったあとも、客席の晴れやかな表情が消えることはありませんでした。もうもうもう今日はイベント全編をとおして大満足、どのバンドさんもリスナーさんも、みんなとってもかっこ良かったです。
セトリ
1.蝋涙に死す。
2.MIRROR MIRROR
3.[blind Circus.]
4.Lunar Regret
5.old【new】order
6.PERSONA
公演情報
2018/8.7(tue) 池袋EDGE
E.T主催EVENT
「NEO SPIRITUAL CIRCLE Vol.3 」
E.T/LANTANA/Lament./THE ENDEMIC OAK/BLESS THIS MESS/the deadly school
20180719/BLESS THIS MESS@渋谷club asia
スタフェス感想
レーベル主催の大型イベント「スターウェーブフェス Vol.19」へ行ってきました。会場の「渋谷クラブエイジア」はむかしからある老舗のクラブだそうで、青色に染まった近未来的な空間がとってもおしゃれ。
見あげるほど高い天井や、カタカナのコの字みたいに両端が突きだしたステージ、いつもブレメスを観に行く「ライブハウス」とはまったく違う雰囲気が新鮮に感じられて、すごく刺激的でした。スタフェスがなければきっと一生縁のない場所だったでしょうから、うれしいです。
というわけで、今回も筆圧つよめの感想です。
対バンの印象
DAV
youtu.be
6月5日の池袋RUIDO K3ではじめて拝見したバンドさん。前回とおなじく、ピーッ!という笛の音にあわせて敬礼をする曲を披露されていました。やっぱりここのバンドさんの曲は、聴いているとちょっとどきりとさせられるものがあります。うまく説明できないのですが、仮面の下の素顔を見透かされているかんじなのです。
そしてブレメスのサポートドラムも務めてあるHakuyaさんの音が、とってもとってもかっこいい!後ろから背中を押されたり、腕をぐいっとステージに引っ張られたり、かと思えば急ブレーキをかけられたり。ものすごく音に感情を揺さぶられる感覚がします。
前回の感想はこちら。
Magistina Saga
youtu.be
3月28日のレーベルフェスで拝見したことのある、関西のバンドさん。そのときはボーカルのお姉さんがステージから落っこちてしまって、ちょっと心配でした。
このあいだレーベルに加入したL.A bateさんと仲良しみたい。関西組としていっしょに頑張ってる、ってMCがありました。こういうフェス型のイベントだと、ちょっとずつ知らないバンドさんを知ることができてうれしいです。
マジサガさんは今回はじめて二列目で観ることができたのですが、庵-iori-さん(Vo.)がステージの上手・下手の端っこぎりぎりまで来て、お客さんたちに声を届けるお姿がとっても印象に残っています。
振り付けがまったくわからなくても、導かれるまま手をあげていたらわくわくしました。ラップパートのある新曲がとくに。
La'veil MizeriA
youtu.be
こちらも3月28日のレーベルフェスぶりに拝見したバンドさん。白塗りのお顔に派手な髪色と血濡れのお洋服、耳をつんざくようなシャウトの嵐、首が飛んでいきそうなほど髪を振り乱す悲絶奴隷さんたちの熱量。
ステージが終わるとボーカルさんは半ば駆け出す勢いでそうそうに下手へ引き上げてしまうし……そのあまりの迫力に、またしても圧倒されてしまいました。かっこいいなあ。
わたしはこのシーンの音楽をそんなによくは知らないのですが、「ヴィジュアル系」と聞いてぱっと思い浮かべるのが、こういうミザリアさんみたいなスタイルのバンドかもしれません。
一曲目の「なんとかの夢を見続けましょう~」みたいなサビの曲、とってもすきです。
ブレメスの感想
入場
youtu.be
ステージを覆うまっくろな紗幕に各バンドのMVが映し出されるなか、「次、ブレメス観ときたい!」とフロアの前のほうにぞろぞろとお客さんたちが集まりはじめました。レーベル主催のフェスとあって、平日の昼間だということを感じさせないくらい、老若男女さまざまな顔がそろっています。
やがて会場が暗転すると、たちまち「来た!!」と期待の声が沸きおこり、それまで座っていたリスナーさんたちが一斉に立ち上がりました。
無数のメンバーコールが飛び交うなか、まずはオールバック風のヘアスタイルで決めた立石 恁さん(Gt.)、満面の笑みを浮かべるサポートドラムのHakuyaさん、どこか眼光の鋭いRegaさん(Ba.)。そして最後に、スカルメイクの柳さん(Vo.)が、ステージに足を踏み入れます。
この日3ステージ目となるHakuyaさんはドラムセットの奥から笑顔をのぞかせ、なにか「やってやるぞー!」といった佇まいで、スティックを握る右手を空高くつきあげていました。
1.蝋涙に死す。
その姿に導火線がちりちりと焦げ付くのを感じるなか、この日のライブは今月リリースされたばかりのミニアルバムより、新曲『蝋涙に死す。』でスタート。「裁きをくれ!」と乞う柳さんの声に合わせて、開幕そうそうヘッドバンギングの嵐が巻き起こります。7月3日の無料ワンマンライブぶりに演奏されたこの曲は、ずっしりと重いラップパートに合わせて一斉にジャンプをする縦ノリの曲です。その途中には激しいシャウトを浴びながら高速ヘドバンをするところもあって、ここがまたすごく心地よいのですよね。
かと思えばクライマックスではとつぜん壮大なサビがやってきて、「死を待つよ……死を待つよ……」と、柳さんが一言一言を会場にしみ込ませるように、おなじフレーズを繰り返します。
このときバンドの低音を支えるRegaさんもまた、眉間にぐっと皺をきざみ、口を縦におおきく開いて、おなじフレーズを熱唱しているのが印象的でした。吠えている、といったほうがしっくり来るかもしれません。
もちろんその表情やたたずまいは、実際に歌詞を書いてうたっている柳さんとはまったく異なるもので。Regaさんにとっての「死を待つ」はどんな意味なんだろう?とすごく引き込まれてしまいました。
メンバーコールってこんなに聞こえるものなんですね。デスヴォイス気味のコール、かっこいい!7.19 渋谷club asia
— 柳【BLESS THIS MESS】 (@BLEMESS_yanagi) 2018年7月19日
「蝋燭に死す。」 pic.twitter.com/0p75OtCSe0
2.醜滅醜焉
続く『醜滅醜焉』では、「16回連続折りたたみ」で一斉に会場を揺らします。これがまた万年三等兵のわたしにはしんどく、あたまの上に体力ゲージがあったらずっと赤色のまんまだったとおもいます。いつもなら”「醜滅醜焉絶望ワーオ!!」のシャウトにあわせてオーディエンスに中指を突き立てる恁さん”を拝見できるのだけれども、この日はとてもそんな余裕がなく、『進撃の巨人』のアルミンみたいに深刻な顔つきで、自分の体力のなさをかんがえるばかりでした。
そんな事情はさておき「煩悩なる醜滅醜焉……煩悩なる醜滅醜焉……煩悩なる醜滅醜焉……3,2,1ぎゃーお!」と柳さんが吠えるところがとってもおきにいり。それからチッチチッチ!チッチッチッチ!ってずっと不規則に鳴っている音もすき。(なんの楽器なのかな?まったくわかりません)
3.PERSONA
「ペルソナはワンマンだけじゃないぞ!」「踊れるのはワンマンだけじゃないぞ!」
そんなニュアンスの言葉がセンターから放たれると同時、鳴り響くのはシャッフルナンバーの『PERSONA』です。「好きに踊ってくれ!!」との許しを眼前に、リスナーさんたちは体を揺らし、手のひらで手首を打ち、思い思いのまま音に身をゆだねていきます。
まさか対バンでこの曲が来るとはおもっていなかったので、いっきに体温が上がってしまいました。この曲が収録されているフルアルバムって2017年の12月20日リリースだったのですが、あれから半年以上聴いてもまだ、いっこうに飽きる気配がありません。ペルソナ、かっこいいなあ。
ダンサブルなメロディーが流れるなか、ぱっと曲調が変わって「Lost Venus……Lost Venus……」と攻撃的なシャウトが挟まれます。
その途中にいったんメロディがぴたっとお休みするところがあって、それまでずっと同じ流れできていた場の空気が、一瞬揺らぐのです。その絶妙なバランスがもうもうもう、だいすき。簡単には安心させてもらえない歯がゆさが、だけど不思議と癖になって、いつも陶酔しています。
4.old【new】order
最後はライブの定番曲『old【new】order』が流れ、ステージもフロアも一斉にジャンプ。いつもは同期音源で柳さんのボーカルが重なっているのですが、この日は(たぶん)それがありませんでした。いつぞやにワンマンライブを観たプレイアーさんからそのようなリクエストがあったそうなので、それをふまえての演出なのかな?と思います。
時々ちょっと歌いにくそうにもみえたのだけれど……、うーん、実際のところはどうなのでしょう。普段の同期コーラスありだと柳さんの歌声や音の粒がぶわあっとひろがって華やかな感じ、なしだと声や楽器の音がはっきり際立つかんじがしました。
曲の終盤では、上手の恁さんがひときわ前に突き出しているステージまで歩み出て、軽快なステップを披露していました。それからセンターの柳さんに寄りそって、胸の高さでギターを寝かせて演奏する場面も、また忘れられません。柳さんがすこし腰をかがめてギターに語り掛けるようにして歌う姿が、ほほえましくもあって。
そうしたメンバー同士の掛け合いみたいなものを観るたび、ライブならではの生のたのしさを感じてうれしいです。
退場
『MIRROR MIRROR』がないのはちょっと意外でしたが、新旧織りまぜたセットリストが聴けたよろこびで胸がいっぱいになりました。と同時に、言いようのない寂しさを感じるライブでもありました。それはきっとわたしがもう、寂しくないときのライブを知ってしまっているからだとおもいます。
いつか叶うなら、もう一度ここのライブハウスでブレメスを観たいな。柳さんと恁さんとRegaさんとHakuyaさん、みんなで音をたのしんでみんなで演奏しているステージをもう一度ここで観たいなあ。
プレイアーさん、他バンドのリスナーさん、そしてメンバーさん、ありがとうございました。
Jewel☆NeigeちゃんのCDも、うれしい……!です。みなさん本当にやさしくて……これからじっくり聴きますね!
ミニパンフレット
レーベルさんのオンライン限定で販売されていたプレミアムチケットの購入特典で、ミニパンフレットをいただきました。内容は、オムニバスDVDの収録曲紹介です。
ブレメスのページでは、柳さんが『MIRROR MIRROR』について書いていらっしゃいました。
そこで語られていたのは、この曲がBLESS THIS MESSからの強烈なラブソングだということ。そして、曲の終盤にある「キミの夢さえ僕が笑おう」がもっとも大切な一節にあたるということです。
ここのフレーズはわたしも惹かれていて、聴いても口ずさんでも、自分を奮い立たせるお守りのようにかんじています。それは柳さんの紡ぐ言葉や歌メロ、力強い歌い方が大きな理由なのですが、とりわけライブで聴くときには、そこにいたるまでの流れもすてきなのですよね。
目まぐるしいスピードで展開していく疾走感たっぷりの曲調、ぎゅいんぎゅいん歪みまくってうねる恁さんのギターソロ、あちー!!と唇を真横いっぱいに広げて笑いながら、全身全霊で低音をとどろかせるRegaさんのベース。そんなRegaさんとときどき視線を合わせながらずっと気持ちよさを保ちつづけるHakuyaさんのドラム。
すべてが絡み合った先にあのDメロ(かな?)が落とされたとき、いつも自然と笑顔になって、片手を高く突きあげてしまいます。
はじめてこの曲がお披露目となった5月10日の高田馬場エリアも、バンド初のハシゴライブが敢行された6月5日のツーステージ目も、このあいだのワンマンのアンコールも、『MIRROR MIRROR』を聴いてまた明日からがんばろう!ってエネルギーをいただいてきました。
だから、って言葉で文章をつなぐのはおかしいかもしれないけれど、次のライブもとってもたのしみです。
8月7日の池袋エッジ、E.Tさん主催イベント。 今までになかった雰囲気の対バンさんたちにわくわくが止まらず、ぜんぶのバンドさんのMVや映像を食い入るように観てしまいました。とってもカッコよさそう。【拡散希望】
— E.T OFFICIAL (@ET_OFFICIAL_) 2018年7月26日
E.T新アーティスト写真公開! pic.twitter.com/NFwVXy0zwQ
お客さんたちがライブでサークルモッシュやウォールオブデスをしている動画もあったから、かなり激しめなのかな?どきどき。2018.7.26池袋手刀
— E.T OFFICIAL (@ET_OFFICIAL_) 2018年8月2日
E.T ONEMAN SHOW
「BRANDNEW WORLD」
▶︎Still Alive pic.twitter.com/Kg5Wx9ffNb
きっとこの日、ブレメスは今日以上のかっこいいお姿を見せてくださるだろうから、それを心待ちにしています。
セットリスト
1.蝋涙に死す。
2.醜滅醜焉
3.PERSONA
4.old【new】order
公演情報
[Starwave Fest Vol.19〜オムニバスDVD発売記念ライブ〜]
Starwave Records presents
OPEN 14:30 / START 15:00
出演:FIXER/未完成アリス/Scarlet Valse/ラヴェーゼ/La'veil MizeriA/THE SOUND BEE HD/UNDER FALL JUSTICE/BLESS THIS MESS/Magistina Saga/DAV
20180703/BLESS THIS MESS@恵比寿 club aim
はじめに
BLESS THIS MESSのプレミアムライブ&ファンミーティングへ参加してきました。
この日は恵比寿club aimで60分限定の無料ワンマンライブが開催され、その事前に有料の特別イベントが別途用意されたのです。もうもうもうとにかく笑い声の絶えないアットホームな空間で、ファンごころをくすぐる演出がたくさんありました。
無料ライブ本編のレポートはこちら。
というわけで、今回も筆圧つよめの感想です。
恁さんアコースティックライブ
開演を少し押した16時過ぎ。集まったファンの方々とおはなししていると、不意にステージ向かって下手側から「こんばんは~」と立石 恁さん(Gt.)が歩いてきました。前髪をオールバック風に編み込んだヘアスタイルで、目の周りを黒くかこんだ攻撃態勢ばっちりの姿、ではあるもののその雰囲気はのんびりとしたもの。
てっきり事前の準備かなにかにいらしたのかな、と思っていたら、よいしょ、とステージ中央に置かれた椅子に座るのです。よく見れば、その前には譜面台……ああっそれから見慣れないおおきなギターも。
なんと、もうこのときから恁さんのセクションは始まっていたのです。お隣のお客さんと「エッ」と動揺のカタカナを発し、「はじまった……」「ゆるくはじまった……」と思わず語り部になってしまいました。
そんなわけでふわっと開始した、恁さんによるアコースティックライブ。ご自身が作曲されたライブの定番曲『old 【new】order』を弾き語りで聴かせてくださる、とっても贅沢な企画です。
あたたかみのあるギターの音がじゃかじゃかと響き、そこに恁さんの歌声が乗っていきます。この間はじめて『[blind Circus.]』のコーラスを聴けたときに「スモーキーな声」と表現したのだけれど、やっぱり優しいお声をされているなあというのが最初の印象です。
ちょっとかすれて、気だるげで、とってもほっとする歌声。よく恁さんのツイキャスに「癒される」とか「癒しボイス」とコメントがつくのも納得です。開放感たっぷりのシンセサウンドやドラムが心地いい原曲とはまた違った、気持ちの内側にすっと染みいるような表現に、すっかり聴き入ってしまいました。
「この後はヤナが歌うからね~」だったか、終わるときもふわっとしています。もう頭から最後まで完全に恁さんの空気感なのですよね。ここから続く柳さん、Regaさんもそうなのですが、それぞれの個性がものすごく出ているイベントだったのです。
柳さんアコースティックライブ
二番手の柳さん(Vo.)はというと、ステージに現れてそうそう「すいません、マイクがないです!」とトラブル発生。この、必要なものがその場所にない、というのがもうすでに柳さんのターンという感じがしました。
柳さんのセクションは、琴の生演奏とピアノの同期に合わせて歌うというもの。ううう、これもまた本当にぜいたくな時間だと思います。まず一曲目はファーストフルアルバム『Xiall Rain』より『悲恋蜉蝣』、それから『Lunar Regret』が選曲されました。
「離れかけたのに、繋ぎ止めた愛を……」と最初のフレーズを歌いだした瞬間もう、頬がゆるみきってしまって。右ほっぺも左ほっぺも、うちがわに戻ってこないのです。ちょっと一回おくちを閉じましょうと宿主が命じるのですが、いやそれは断る、俺たちほっぺさんサイドにも言い分がある、といっかんして拒否の姿勢で。
ともかく、とてもとても素敵な時間でした。それだけに二曲目がトラブルで中断してしまったのは、ちょっぴり残念。でもそれも「柳クオリティ」なのかもしれません。
レガトーーーク
残るはRegaさん(Ba.)が司会役をつとめるファンミーティング。いったい何をするのかな?と終始、あたまの上にはてなマークが浮かんでいました。
ファンの集いのような催しは、ファミコン界のレジェンド・毛利名人のレトロゲームイベントにしか参加したことがないのです。音楽関係、ましてやヴィジュアル系のジャンルともなると、この日が本当の初体験。
瞬間、とつぜん陽気な洋楽BGMが流れだしました。「マイーマイーアイーヤイー……フー!!」でおなじみのこの曲は、ザ・ナックの『マイ・シャローナ』。あれ?これってなんの番組の曲だったかしら……記憶を辿ろうとしたその矢先、「はい、どーもー!!!!」なノリでRegaさんが入場してきたのです。
赤いストライプ柄のジャケットに真っ赤な超ネクタイを結んだその姿は、まさしくベタな芸人さん風の衣装で、さっきまでのしっとりとした雰囲気との高低差にどっと客席がわきます。もうここからずっと笑っちゃった。
「僕たちはブレメス大好き芸人です!みなさんもブレメス大好き芸人ですよね!?」と語るRegaさんいわく、要はTBSの人気バラエティ『アメトーク』みたいなテイストでメンバーの紹介をするというもの。しっかりフリップも作ってきていて、たぶんひな壇芸人のポジションなのだと思います。
恁さんと柳さんはそれぞれ上手と下手に立ち、Regaさんのプレゼンにひとつひとつ反応するポジション。本家アメトークでいうところの、宮迫さんと蛍原さんみたいな。でも今日はブレメスだから、レガトークかな?
ブレメス紹介
BLESS THIS MESSを形成するメンバー陣のパート紹介。今まで結構たくさんライブに通っていたはずなのに、わたしはものすごい勘違いをしていたみたい。柳さんはボーカル、恁さんはギター。Regaさんは釣りだそうです。パートは釣り。ベースのベの字も出てきませんでした。
メンバー紹介
それから、各メンバーの紹介がはじまります。柳さんに対しては「ラインの通話が長い、二時間をこえる。彼女か!!」と、のっけから痛烈なひとこと。横から恁さんも「スカイプだと6時間くらい話してる」とすかさずマイクを手にします。
それで思い出したのだけれど、前に恁さんからも同じようなことを言われていたなあって。
今年の4月くらいだったか、柳さんと恁さんがツイキャスのコラボ配信をしたときに、お二人が年末に大喧嘩をしたというエピソードが語っていらしたのですね。
それはお互いがバンドを高めていくために必要なぶつかり合いだった、とのこと。たしかに作品と真剣に向き合うクリエイターが集まれば、かならず衝突しあいますよね。きっとそれぞれに譲れないこだわりがあるでしょうから。
そんなこんなでしばらく冷戦状態が続いていたときの柳さんの不満が、「ケンカ中でもラインに絵文字を使ってほしい」というものだったのです。もう、この字面の平和さがたまりません。
「恁くん、あれいちばんだめだよ!俺、超傷ついちゃうんだからさぁ!」
「俺はヤナの彼女じゃない」
「じゃあキミが付き合ってる相手からさ、いきなり絵文字なしのラインが来たらどーーー思うの?こっちが話しかけて、はいわかりましたっていきなり絵文字なしの敬語で来たら、ねぇどうよ??どうなのそれ!!」
「俺は彼女かっ」
「俺たち群馬と東京の遠距離恋愛なんだからさ、B'zのバッドコミュニケーショーン♪はダメだよ!」
柳さんが必死に主張して、恁さんが冷静にツッコミをいれる。このあまりの熱量の差が微笑ましくって、笑ってしまったのを覚えています。こうして書き起こしてみると、むしろ柳さんが「彼女」側かも。
プレイアーからの質問
続くコーナーでは、あらかじめ回収したアンケートからどんどんクエスチョンが拾われます。
メンバーの可愛いところを言い合う流れでは、Regaさんが恁さんを「お前は可愛いと思われたいのが透けて見えるからダメだ」とばっさり、その無慈悲な返し方に笑ってしまいました。片手に持った〇✕札から、ブーッ♪と不正解の音を鳴らして。
だけど「オカマみたいなスタンプを使って」なんて言われても、恁さんは恁さんで「あれはたしかにな~」と気ままな感じ。
もうとにかくRegaさんの切れ味がするどくて、するどくて。ちょっと間違えたらケンカを売ってると思われそうなくらい、アタリが強いのですよね。
でもそういうのってお互いに全幅の信頼を置いているからこそできるもので、もちろん相手を見ているからこその愛が感じられて、だからとっても楽しかったなあ。メンバーさんたちの絆を目の当たりにできて、すごく楽しかった〜のです。
曲のノリ方おさらい
続くコーナーでは、これもまたあらかじめ回収したアンケートから意見をひろい、実際に演奏しながら振りつけを決めていきました。このときには裏で控えていたサポートドラムのHakuyaさんもスタンバイし、メンバーさん達の生演奏に合わせてライブのノリを再現していきます。
とりわけ印象的だったのはエッジの立ったロックナンバー『VENOM』です。
原曲だとものすごくダークに攻めていく雰囲気が、横ステップを踏むだけでたちまち「さぁ、愚かしいこの僕に〜〜〜笑ってYO☆」と変わって聴こえます。
そのなんともいいがたい野暮ったさ……に客席からくすくすと笑い声が上がる中、しかし柳さんがまさかの「じゃあ、とりあえず今日のところはそれで」と素直に受け入れてしまったのです。
瞬間、Regaさんが血相を変えて「やめて!!だめだめだめ!!絶対やめて!!」と全力阻止していて、これにはもうお腹がいたくなるくらい笑ってしまいました。「えっダメ?これダサい?」「俺は止めてほしかったんだよ!」と二人が掛け合いをする後ろで、Hakuyaさんもまた響かんばかりの声で大爆笑。
せっかくの限定イベントだからそのすべてを公開することはしないけれど、とにかく最初から最後まで大満足な時間でした。Regaさんの「俺はDir en greyみたいなノリがやりたいんだよ!」からのワンフレーズ熱唱(ちょっと京さんみたい。笑)なんて、普段のステージでは絶対に味わえないもの。
またこんな風にRegaさん進行のイベントが開催されたらいいなあ。ただ三人で座談会みたいにお話しするだけでも、ボードゲームを囲むだけでも、それだけで成立しそうな気がします。バンドの垣根をこえて、交流のあるみなさんで集まるのもおもしろそう。
メンバーさん達もプレイアーさん達もニコニコしていて、とってもとってもとっても楽しかったです。ブレメスへの気持ちがまたいっそう深まるのを感じるなか、この日のイベントは幕を閉じました。
セットリスト
1.old 【new】order
2.悲恋蜉蝣
3.Lunar Regret
公演情報
2018年7月3日(火)恵比寿club aim
BLESS THIS MESS 60分限定無料ワンマン「blind Circus.」
Starwave Records presents
OPEN 18:00 / START 18:30
※プレミアムチケット特典:本編前にメンバー3人とお客様とのライブミーティング・琴の生演奏ライブを行います。(16:00〜予定)
