20180629/BLESS THIS MESS@池袋BLACK HOLE
はじめに
梅雨はいったいどこへ行ってしまったのでしょう?じりじりと容赦なく陽射しの降りそそぐなか、BLESS THIS MESSの出演するライブを観にいってきました。
連日の猛暑ですでに慢性熱中症ぎみのわたしにとっては、その道中こそベリーハードステージ。何度こころが折れそうになったかわかりません。民家のねこを片っ端から盗み、網走刑務所でダブルピース、そんなふだつきのワルでも、おてんとさまの前では無力なのです。
このままだと戒名が炎天下爆発四散大姉になっちゃう、とよろめきながら、それでもなんとか池袋ブラックホールにたどり着くことができました。熱が見せた幻覚じゃなければ、この日のブレメスはオール新曲、はじめて尽くしのセットリスト。
というわけで、筆圧つよめの感想です。
対バンの印象
トイサーカス
その名のとおり、サーカスをコンセプトにした華やかなバンドさんでした。ボーカルさんが歌っているうしろで、楽器隊のみなさんが動物のぬいぐるみやお人形をつかった舞台風の演出をされます。
最前列の柵からフロアを眺めるようにぬいぐるみのキリンさんが置かれたときには、あまりのシュールさにおもわず笑ってしまいました。
曲と曲のあいだにはかならずMCがあって、メンバーさんたちの掛け合いでおもしろおかしく盛り上げていきます。ポップな印象なのだけれど、ベースさんが上半身裸で激しく頭をふりながら演奏したり、拳ヘドバンやモッシュタイムがあったりと、攻撃的なギャップもありました。
ブレメス本編
1.MIRROR MIRROR
youtu.be
バンドネームを唱えるSEが流れるなか、まずは立石 恁さん(Gt.)とサポートドラムのHakuyaさん、Regaさん(Ba.)が登場。それから少し間を置いて、柳さん(Vo.)が現れます。
メンバーコールが途絶えて一瞬の沈黙が下りたあと、ドラムの音と共にステージが始まりました。この日のオープニングを飾ったのはすっかりおなじみの『MIRROR MIRROR』、スピード感抜群のメロディに一曲目からトップギアで行かずにはいられません。
2. 蝋涙に死す。
『蝋涙に死す。』はゆっくりと余韻の尾を残すようなヘッドバンギングで始まりました。なんだか足元がぐにゃりとゆがむような奇妙さが感じられ、癖になる曲です。楽器がチャカポコチャカポコ鳴っていて、ちょっと異国の雰囲気もするかな?
試聴の段階からライブ映えしそうな印象を持っていたのですが、その期待にたがわぬ格好良さでした。特に、柳さんのシャウトの後ろでドラムがドコドコドコドコ……と鳴ってからの、ダッダッ!ダッダッ!「裁きをくれ」ダッダッ!ダッダッ!「あなたのーおー」とサビで一気に音の粒が弾ける流れは、実際に生で聴くと最高です。とってもとっても楽しい……。
『old 【new】order』がそうだったように、これから回数を重ねる中でどんどん化けそう。たくさん聴けたらいいなあ。
それから下手のRegaさんは、黒いノースリーブの衣装から伸びる腕を自在にあやつって、ラッパーめいたステージングをしていました。柳さんの歌声に合わせて唇をうごかし、片手を胸元に這わせたり、かと思えばその手をフロアへ突き出したり。
なかなか歌詞を聞き取る余裕がなく、なんと言っているのかまではわからなかったのですが、何ごとかを訴えようとするその熱量から目を離せませんでした。それがまたモードストリート系の衣装とよく合うのですよね。
バンドのなかで唯一、ちょっとカジュアルに寄せてるあの抜け感がすごく好きです。全体を引きで見たときのバランスにいつもぐっと来ます。
3.[blind Circus.]
続く『[blind Circus.]』は、どこか懐かしさをおぼえる曲調と柳さんのすこし抑えぎみに歌いはじめる声が絶妙にマッチしていて、火照ったからだがほどよくクールダウンされました。スポット動画をはじめて視聴したときは、こんな感想を抱いていたみたい。なんとなく、90年代後半のふんいきを感じるのですよね。終末へ向かう閉塞感があって、でもその中に「日本の未来はWOWx4」って希望を見いだそうとするような。RT:1998年にタイムスリップできちゃう『blind Circus.』がとってもお気に入り。90年代後半の、小室ファミリーと和製R&Bとヴィジュアル系があふれてて、音楽が元気だったころの曲みたい。この曲がながれる化粧品のコマーシャルを、小型のブラウン管テレビで観たいな。ビデオテープに録画したいな。
— Haruna (@harutsugedolly) 2018年6月3日
全体的に綺麗で繊細なかんじの曲を予想していたのだけれど、イントロと間奏はおなかの底にずんっと響くメロディで、ものすごく格好良かったです。Aメロもただ美しいとか切ないというよりは、力強さを内包する大人の色っぽやなぎさんな感じでした。ぐっと来ます。
そんな柳さんが低音ボーカルを響かせるなか、恁さんもまた上手のスタンドマイクに唇を寄せてスモーキーな声を重ねます。恁さんのコーラス!コーラスの恁さん!Regaさんはいつぞやに聴けた気がするのだけれど、恁さんははじめて。もうもうもう本当に、飛び跳ねたくなるほどうれしくって。
先月の高田馬場エリアではじめて『MIRROR MIRROR』を聴いたとき、その迫りくるバンドサウンドの合間に、なんだか恁さんとRegaさんも歌い出しそう……と感じていたんです。いま思えば、それはたしかな願望からくる想いだったのかもしれません。この日しっかり堪能できたことが本当に幸せでした。
コーラスのあるバンドさんはとってもとってもとってもかっこいいと思います。
4.VENOM
この日のラストを飾る『VENOM』は、ひたすらハードなロックチューンでした。イントロから柳さんが「頭振れ!!」と煽り、そのあとは逆ダイ・折りたたみ・高速ヘドバンと、体力をすべて振り絞るようなアクションが続きます。万年三等兵のわたしはすっかり息を切らしてしまい、もう何が起きているのかわかりませんでした。「なあに?わかんない!わかんない!」「あたま?あたま?こぶし?」リスナーさんと口の動きだけで会話をしながら、なんとか必死に曲に食らいつこうとするばかり。
当然、柳さんのステージングをじっくり観る余裕もなし、黒いパンツの太もも部分にジッパーが付いていることしか覚えていなくって。処理能力が追いつかないせいでレスポンスができないというのは、自分のなかでちょっと悔しいところでもありました。
「曲に合わせてかならずノるべき」ということではまったくなくて、投げられたメッセージに対して受け身になってしまうのが、歯がゆかったのです。でも、今日の時点では「何が起きているのかわからなかった」がいちばん素直な反応なのかな。
すっきりしないところもあり、もうずーっと、あの『VENOM』はなんだったんだろう?と考えてしまいます。もしかしたらそれこそがバンドさん側の思惑で、わたしは踊らされているのかもしれません。
そんな感情はさておき、曲は終盤へ向かうにつれて混沌を極め、リスナーさんたちは良い意味で好き勝手に暴れていきます。視界のふちをかすめる拳ヘドバンと、曲間に放たれる「や゛な゛ぎィ!!」とシャウト気味のメンバーコール。うう、かっこいい、しびれちゃう。わたしもすっかり刺激され、名誉の二階級特進をいただくつもりで最後のちからを使い果たしました。
「BLESS THIS MESSでした、ありがとうございました」
言葉少なに告げた柳さんがそうそうにステージを去り、他のメンバーさんたちも続々とその後に続きます。最後に恁さんがトン、と胸の高さで両手を合わせるお辞儀をしてから下手へ捌けると、そのタイミングで幕が引かれました。
個人的に今日はやっとHakuyaさんのネームコールもできてうれしかった〜!のです。メンバーさん、プレイアーのみなさん、すてきな時間をありがとうございました。 次はいよいよ7月3日の無料ワンマン、とっても楽しみです。
セットリスト
- MIRROR MIRROR
- 蝋涙に死す。
- [blind Circus.]
- VENOM
公演情報
Cure V-splash Presents「V-SPLITS Vol.17」
BLESS THIS MESS / 君は鋭く。 / DIVEIN / KRAD / トイサーカス / 他